具体的に・・医療の問題

 事実婚・内縁という法律上の結婚をしていないカップルの場合、どうしても不都合が出てくる場面があります。例えば、パートナーが病気になったとき、事故で怪我をしたとき、死亡したときなどです。
 これらの、いわば緊急時においては、事実婚・内縁のパートナーよりも、血の繋がった親・兄弟という法律上の親族の意思や権利が優先される傾向があります。

 そのような不都合への対策として効果が期待できるものとして、公正証書や遺言があります。例えば、事実婚に関する公正証書では、病気・事故などの緊急時への対応について決めておくことは勿論ですが、日常生活に関する決め事も含めておくことができ、そのような日常生活に関する決め事が、パートナーの死亡時にも役に立つことがあります。

 少し具体的に書いて見ましょう。 事実婚のパートナーが、急病や事故で病院に搬送されたとしましょう。 このようなケースで、症状が重ければ、看護や面会が、ごく近い親族に限られることがあります。また、病院としては、親族以外の者に対して、病状の説明等の患者の情報を伝えることをためらいます。これらの対応は、病院の慣習として行われています。ですから、事実婚という関係を病院に説明して、面会や看護が出来るようにし、治療に関する判断をパートナーに任せることも可能なのです。  しかし、それをスムーズに説明できるとは限りません。特に、緊急事態であればなおさらです。そうした事態に備えて、公正証書で2人の関係を明らかにし、パートナーとの面会や看護を希望すること、治療に関する判断や病院での手続きをパートナーに委任しておくことができます。緊急事態のための証拠作りということです。